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2019年12月12日 (木)

(686) 「自称」発達障害

最近の発達障害界隈を見ていて、気になること。

それは、自身が発達障害の当事者であるという主張の根拠は何か?

ということです。

「へ? お医者さんの診断を受けたからではないの?」

と思われるのはごもっとも。でも、特にネットで自分が発達障害当事者であると主張される方の自己紹介等を注意深く見ると、この人は本当に発達障害の診断を受けているのだろうか? と疑問を感じる記載であることが少なからずあります。

実は、自閉スペクトラム症と診断できる医師は、そう多くありません。小児神経専門医、児童精神科医、精神科医等のうちの一部、ということになります。従って、診断できる医師がいる病院はどこも診断希望者が殺到し、診断を受けるまでに半年以上かかるということも珍しくはありません。

それでも、キチンと診断を受けることで、その先の療育や教育システム、更には福祉につながることができます。

ただ、どうもあまり重くない方はそのまま成長し、生きづらさを感じたり他者との違和感を感じたりする中で、さまざまな本を読み、自分が発達障害なのではないかと思い至るケースがあるようです。

こういう方は、結局医師の診断を受けないまま、本人の感覚で自分が発達障害であると思い込んでしまうようです。

実際、特に成人以降になると、今の診断に必要とされている生育歴の調査がうまくできません。ここを担うのは親ですが、親の記憶もあまりに前のことだと薄れてはっきりしませんし、本人との関係性であまり仲良くない場合は、協力を得られないことも起こり得ます。

ただ、だからと言って自己診断を認めて良いのでしょうか? 私は、それは明確に不可だというスタンスに経ちます。

理由は簡単で、本人の感覚では、DSM-5等の診断基準と厳密に突き合わせることもできないでしょうし、本当に障害とするレベルなのかの見極めもつけられないからです。

ところが、世の中では「自称」発達障害の方の声が意外に大きくなってきていて、影響力を持つ人も出てきています。しかもそのイメージは、小さい頃に診断を受けて療育や特別支援教育を受けて育った、自らは声を発することの少ない診断済の発達障害の方々のイメージとは明らかに異なっていると感じることが多いです。これは、どう考えても発達障害を正しく理解することの妨げになりかねず、そのことを大いに危惧するものです。

「自称」者に対してむやみに沈黙を強いることはできませんが、彼らも自分たちが未診断であることについては自覚して発現する、或いは未診断であることを何らかの形で明示することは必要なのではないか、と思います。

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