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2019年11月

2019年11月30日 (土)

(685) 発達障害の「障害」

昨今、発達障害が治るといった言説がチラホラとネット上で流れています。このことを考える前に、労働災害による傷病に関わる障害について、厚生労働省は以下のような見解を示しています。

業務上の事由又は通勤による負傷や疾病が治ったとき、身体に一定の後遺症が残った状態をいいます。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyungyosei36.html

これ、極めて示唆的だと思います。

治った後になお残るもの(後遺症)があれば、その状態が障害であるということであり、それは即ち障害は治るものではない、治らないというのが国の見解である、ということになります。

先天性の発達障害は、このような後天性の身体・精神障害とは異なるという反論があるかも知れません。では、逆に先天性の発達障害は、全部が治り得るものなのでしょうか?

もし、そういう認識に立つならば、障害として残る部分がない、いずれ消えてなくなることになります。そうすると、国が定めた発達障害者支援法は、治すための法律なのか? ということになってしまいますが、そうではありません。同法の第一条に「発達障害者の自立及び社会参加のためのその生活全般にわたる支援を図り、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする」と記載されていて、法目的と発達障害者は健常者と共に生きる存在と見なされていることは明らかです。

また、同条の前半は「発達障害を早期に発見し、発達支援を行うことに関する国及び地方公共団体の責務を明らかに」し、各種支援を定めています。この手の支援を定めつつ、それでも発達障害で治らない部分の存在を認めていなければ、このような条文の記載にはならないでしょう。

個人の思想信条は自由ですが、国の見解は把握しておく必要がある。私はそう思います。

2019年11月10日 (日)

(684) 療育の成果

療育は、治療的教育と言われます。私は、子どもに教えるべきことを、子どもの特性に合わせ理解しやすいようにアレンジしながら、教えていくことだと理解しています。

従って、理解しやすい=速攻で体得できる、ではありません。場合によっては、特性に合わせたつもりが、方向性がズレていてあまり奏功しないということも起こり得ます。

まさにトライアルアンドエラーなのですが、この辺りを誤解されている方も少なからずおられるようです。療育機関に通っているから大丈夫、というのはその最たるものでしょう。療育機関に通わせていること自体は良いことですが、それは理解の端緒をつかみやすくする可能性があるというだけで、実際それを習得するのはその子であり、習得の速さもその子の持って生まれた能力の育ち具合に大きく左右されます。

見方を変えると、ある課題についてわが子があっさりクリアできたとしたら、それは療育の成果というよりも、ジャストのタイミングでその課題に取り組むことができたと解するべきだと思います。

また、方向性のズレというのは、健常児ならこの順番で能力を獲得していくという経験知が、時として役に立たない場合がある、ということです。

昔、何かの本で読みましたが、英語で障害を表す「disorder」という単語は、「dis」=否定(ではない)、「order」=順番、ということで、まさに「順番通りではない」というのが元々の意味だそうです。能力の獲得を見ると、発達年齢通りではないですし。

このような視点でわが子の得意不得意を見ると、療育に通わせているのに何でできないのだろうと悩むよりも、そういう特性なのだと割り切ることができて、心の中のモヤモヤが晴れていくのではないでしょうか。私はこの手の割り切りも、長丁場の育児の中では必要だと思っています。

 

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