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2019年9月16日 (月)

(679) 高機能児の将来を考える

「高機能」という言葉、一般用語ではそのまま「高い機能」を意味し、ハイスペックなものを指します。並より上のものとなります。

しかし自閉症界隈では、「知的障害がない」ことを意味します。見方を変えると、普通の知能でも自閉症界隈では高機能と表現されるのです。

これは、自閉症児の研究の歴史が、知的障害のある子からスタートしたことによります。言い換えると、自閉症、という言葉には知的障害があることも含んでしまっていたのですが、その後、通常或いは通常以上の知的能力を持つ子もいることが分かり、そういう子たちについては、高機能という冠をつけて区別した、という背景があります。

もちろん、通常以上の高い知能指数を示す子であっても、同じ高機能に分類されます。超高機能とは言いません。

このことは、世の中での受け止めと乖離があるように思います。

知的障害があることを前提とされるにはそれなりのわけがあります。高機能と表現される普通の知能を持つ自閉症児は、かなり少数派であり、通常以上の知能を持つ自閉症児は、更に少数となります。

ただ、一般の人の高機能の意味は自閉症界隈とは異なりますから、すごい能力を持っている人、という目で見てきます。実際、そういう子もいて、時に彼らがセンセーショナルな取り上げられ方をしてしまい、誤解に拍車がかかることがあります。

でも、それは「高機能自閉症児」の全体像を表してはいませんし、代表ポイントでもありません。

通常の知的能力の高機能自閉症の子は、言語も獲得している場合が多く、成長するにつれてパニックやこだわりも減ってきます。コミュニケーションもパターン化して覚えたりする等して何とかできるようになると、親が特に強く希望しない限りは普通の学校に進み、就労も一般就労になりがちとなります。というよりも、精神障害者保健福祉手帳を取得しない限り、障害者就労を選択することはできず、一般就労せざるを得なくなります。

まさに「普通の人生」を歩むこととなるのですが、自閉症の特性が全くなくなるわけではありません。また、昨今普通の人間が普通の生活を維持することも容易いことではなくなっていますから、知的障害のない健常児であってもつまづくことはあり得ます。そういう世相の中で、何かの折に自閉症由来の特性が顔を出して、周囲から浮いてしまう、仕事に支障が生じてしまうようなことがあると、場合によっては職を失うこと、或いは本人が就労意欲を喪失して周囲から言われる前に自ら退職を選んでしまうこと、更にそれを契機にうつなど心の病になることもあり得るのです。

なお、そういう状況に陥って初めて医師にかかって自分が自閉スペクトラム症だと診断される場合もあり、これはいわゆる大人の発達障害と呼ばれるようになっています。

親は、このようなリスクが決して低くないことを念頭に置かなければ高機能児のサポートはできないと思われますし、リスクの発現を早期かつ的確につかむためには、日頃から本人の様子を観察し続ける必要があります。仕事の内容は本人の成長により変わりますし、本人・同僚・上司のいずれも異動のあり得る職場ならば、その誰かの異動によって環境は変わりますから、最初たまたまうまく行ったとしても、それが継続するとは限りませんし。

そんなことを考えるようになったのは、息子も高校生であり、就労する日がそう遠くないことを意識するようになったからです。無事に就労できるか、できてもそれが継続できるか、最終的に親の助けがほとんどなくても何とかやっていけるか、を考えると遥かなる道のりのように感じています。それでも、千里の道も一歩からだと割り切って、遠くのことをうっすらと思いながらも目の前の課題を一つずつ解決していくしかないだろうな、と感じています。

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