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2019年5月 5日 (日)

(670) 発達障害の人の出口

発達障害についての理解は、以前よりは深まっていると感じます。

発達障害を取り上げた本や漫画も増えました。更に、ここ数年はNHKがいろいろな切り口で発達障害の特集を組み、何度も波状攻撃のように放映してくれたことや、ドラマ「透明なゆりかご」で原作・主役者が発達障害であることを劇中に織り込む等のこともあり、こういうことが複合的に影響しているのだろうと思います。

発達障害についての理解が深まったこと。そのこと自体は喜ばしいと素直に感じます。それにより、発達障害当事者の健常者との不必要な軋轢や奇矯に見える言動への非難をある程度防ぐ効果が生まれたと認識しており、それは取りも直さず発達障害者の生きやすさにつながるものだと思います。そして、学校での配慮も拡充してきました。これは大きな進展でしょう。

ただ、そういう配慮も学校でのことが多く、学校を卒業し就職した職場ではまだまだだ、というのが当方の実感です。

より正確に言うと、障害者手帳を取得されている方に対する就労はそこそこ充実してきている一方で、手帳取得にまでは至っていない方への支援についてはまだまだだ、と言うべきでしょうか。

実は企業の側において、障害者雇用率の充足は法的要請であることから、それを満たしたいという動機は強くあります。従って、手帳取得者に対する雇用ニーズは高いです。一方で、手帳を取得できない程度の発達障害者がいることも、理解されるようになってきました。これは、いわゆる軽度の発達障害ということになりますが、彼らについては、むしろ企業が採用して働いてもらって初めて本人が障害に気付くことがママある(言い換えると、大抵は本人が気付かない、職場で障害として認識されることなく、単に個人の性格の問題として語られる)程度で、具体的に会社として彼らを発達障害者だと認識してその支援していくための取り組みは、まだ始まったばかりだと感じられます。

企業側の理屈からすると、手帳を持たない障害者は、法定雇用率達成に影響しないこととなります。これが基準となって、積極的に支援に取り組もうというインセンティブを持ちにくいという身もふたもない事情があります。

ただ、昨今の人手不足の影響もあり、職場で支援に向けて何らかの対処が必要ではないか、という雰囲気は生まれてきています。ただ、それを誰がどのようにやるのかが不明であり、必要性については認識が広まったものの、次の具体的な取り組みが未達、という状況だと思います。

取り組みについては、障害者手帳を取得した発達障害者にも共通する部分が多くあります。法定雇用率達成のために採用はされるのだけど、本人の希望や特性について検討されることがなく、軽作業だけを依頼される例は少なくありません。「これならできるだろう」という発想では、本人のやりがいにつながるのかも大いに疑問です。

この辺りについては、「どこかの誰かが考えて何とかしてくれる」という希望的な観測を持たない方が良いのではないかと思うのです。そもそも、幼少期にはかなり画一的に思われるこだわりも、加齢に連れて個々人の個性が立ってくることにより多様性は出てきます。それを、どこかの誰かが考えて…というのは現実的ではないでしょう。これは、そもそも健常児であれば当たり前のことです。

結局は、本人と親が主体的に自身の出口について考え、必要な対応に取り組まざるを得なくなります。そこに主治医や療育の先生からの助言や提案を取り入れて、親子で咀嚼しながらより良い就労につなげていくことになるのだろう、と現時点では思います。

歯切れが悪いですが、私自身、息子が高校に入り社会に出ることがそれほど先ではないという事実に焦燥感を深めているのが実態ですので、この点ご容赦下さいますようお願い申し上げます。

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