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2014年1月17日 (金)

(438) きょうだいのいる家庭の復原力

障害児の兄弟姉妹を「きょうだい」とひらがなで表記することについては、以前も書きました(430等)。なお、厳密にはその「きょうだい」達は健常であることが前提となることが多いようです。

ただ、きょうだい達から見て、障害のある兄弟姉妹が年上なのか年下なのかは、彼らの持つ思いにかなり影響を与えるのではなかろうか、と思います。今回は、このことについて考えて見ます。

one障害児が年上(=兄や姉)である場合

この場合、障害のある兄或いは姉が先に生まれていることから、自分が生まれ物心が付いた時には、既に障害児との生活があった、ということになります。ある程度自分が成長するまでは社会の大部分が自分の家となることから、障害児との生活は、全く普通のことだと受け止めてしまうことになりがちです。

ちなみに、それが前提となるので、自分への親のサービスレベルは、低めで安定し変化が緩やかになりがちです。この点では、波風が立ちにくい状況とも言えそうです。ただ、加齢に従い、友達との関わりが多くなり社会が広がっていく中で、段々「あれ? 何かウチはヨソと違う?」と感じることが増えていくこととなります。

two障害児が年下(=弟や妹)である場合

この場合、oneとは逆に生まれてしばらくは親の愛を一身に受けていた、と推測されます。存分に親の愛を享受できた状態から、年下の兄弟姉妹が生まれたことにより自分への親のサービスレベルが急激に低下する、という経験をしたことになります。もちろん、これは下が健常児であっても、同様のことは起こります。そして、生まれてすぐに分かるような障害でなければ、しばらくは下が健常児である場合と同じレベルの下がり方で維持されることとなります。

ただ、いずれ障害が明らかになった時、更に自分へのサービスレベルが下がる、という幼少時には辛い経験をすることになりますし、かなり自尊感情を傷つけられるような思いを感じることになりがちです。兄弟との年の差にも寄りますが、親を独り占めできていた頃の記憶があれば、なおさら不満を感じるのは当然の成り行きと言えます。

oneは元々親の愛の供給が少なめ、twoは親の愛の供給が激減という経験をすることになりいます。この両者は、語弊はあるかも知れませんが、「貧乏は辛くないけれど、落ちぶれるのは辛い」という感覚に近いものがあると考えており、twoの方がより心の負荷が大きいと感じます。そして、このことにより、同じ「きょうだい」という言葉でくくるのには適さないであろう「異なる感情」を障害のある兄弟姉妹に持っている、と思っています。

但し、oneは逆に加齢に連れて、自分は何で生まれてきたんだろう、端的には「もしかしたら、親は一生お世話係要員が必要だから私を生んだのか?」という疑念を持つリスクがあります。加えて、普通は、年上が年下の面倒をみるものなのに、なぜ年下の自分が我慢をし、面倒をみなければならないのだろう? という思いも出てくるでしょう。これはこれでoneとは異質ではあるものの、決して簡単に割り切れないものだと思います。

親は、このようなことを踏まえて子供たちに接しなければならないと思います。単純にこうすれば良い、というような答が出るものではありませんが、一つ言えるのは船舶のように家庭を営むことが必要だということです。

船舶には復原力というものがあり、ある程度までは傾いても元に戻すことができます。でも、これを超えたらどうなるか? 簡単です、転覆してしまいます。

率直に言えば、残念ながら障害のある子の方に重心を掛けざるを得ない状態は否めないかも知れないとは思います。でも、それをやるにも限度があって、親が例え少なくてもきょうだい達にもキチンと目を向けて、かつ時間を作って彼らの思いに応え、欲求を満たしていく必要があるし、そうすることで家庭の復原力を維持していく努力をしなければならないだろうと考えています。

もちろん、言葉で言うのは簡単ですが、楽なことではありません。でも、船舶が転覆しかける前に、もうちょっとだけ汗をかく努力をしてゆきましょう。長い航海をし続けていくために。

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