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2013年12月21日 (土)

(434) SSTを考える

発達障害児の社会性を伸ばすための取り組みとして、代表的なものにSST(Social Skills Training)があります。息子もこの取り組みを実施中ですが、これは、マンツーマンで行う方法と集団で行う方法があるようです。

マンツーマンの場合は、主にイラスト(例えば、ケンカをしている絵)等を見ながら、原因は何か、何が問題なのか、どうすれば良いのか等について先生と本人で話し合いをしながら解決策を探っていく、また集団の場合では、与えられた課題(例えば、すごろくを作る)を達成するために、複数の参加者で案を出し合い、相互の主張を折り込みながら、作り上げていく、というようなことを行う中で、社会性の向上を目指すこととなります。

本来、社会は複数の人間で成り立っているので、集団で実施していく方がベターだと思いますが、集団でやるためにはいくつかのハードルがあります。

まず、当たり前ですが集団でやるためには複数の参加者が必要になります。こういうニーズを持つ希少な子が、同時期にその教室に申し込まないと成立しないことになります。

そして、ある程度レベルが近い子同士でないと、上述のような課題に対して一緒に取り組むことが難しくなります。つまり、複数の近いレベルの子がいないとこの方法は成り立ちにくいことになり、ある程度の規模の療育先でなければ、教室の立ち上げ自体が困難となる、という現実があります。

逆に、成り立ったとしても、今度は定員の関係から後から追加的に参加することが難しく、空き待ちになる場合も有り得ます。

加えて、取り組む子にとっては、もちろん集団の場合の方がマンツーマンでやる場合よりも取り組みレベルが高くなります。元々社会性が弱いからこそSSTに取り組む必要が生じているわけですから、放置してうまく課題が達成できるわけではありません。状況を見ながら、時に先生が方向性を示したり助け舟を出しながら進めていくことが必要となりますので、先生の技量も必要になります。

このような多くのハードルを乗り越えてできた集団に身を置くことができるのは、かなりの幸運だということになります。ところが、実際にそういう集団の中でSSTをやらせてみると、意外にうまくできてしまう例をよく見ます。なぜだろうと考えると、

課題が明確
参加者も、自分たちが何をしにこの教室に来ているかがわかっている
本人もその解決に全力で取り組める状況・環境である
先生のリードやアドバイスで、解決策が容易に見つけられる

というようなことが考えられます。

むしろ、なぜSSTに取り組み始めたのかを考えると、最終的には何気ない日々の生活における人との関わりの中でのちょっとした行き違い・思惑のズレの中から、課題を抽出して(⇔)、その解決の必要性をキチンと認識して(⇔)、他にもやることがある状況でありながら感情の激発を抑えて(⇔)、独力で解決策を考えられる(⇔)、ということを目指すことになるのだとしたら、この手の教室での取り組みは、かなりヒントが多い状況だということになります。

私のイメージでは、数学の問題で、同じ問題を理系クラスでは一気に解かなければならないところ、文系クラスでは小問(1)、(2)、(3)を個別に問われて、これらを基に(4)の解を求めなさい、と回答の筋道を小問で導かれるような感じですかね(わかりにくい例えかも知れませんが)。

このようなわけで、SSTに対するニーズは高いものの、どうしても易しめの取り組み内容になりがちなのですね。ゆえに、期待したほどの成果が感じられないことから、途中で辞めてしまわれる方もおられます(厳密には、そう言い切られたことは無いので、私の憶測でしかありませんけれど。なお、空き待ちの人にとっては、チャンスが回ってくることにもなりますが…)。

とはいえ、だから全然役に立たないかと問われたら、私はそうではないと思っています。文系数学のようなものでもやらないよりはマシですし、いくつかのパターンをこなしていくうちには、応用できる範囲も広がってゆくでしょうし。

もちろんできるにこしたことはありませんが、どのようなことでも全勝を目指そうとするとシンドくなります。元々不得手な部分であり、赤点にならないレベルでさえあれば良いのではないか、と思うのです。

時には失敗することがあるかも知れませんが、その穴を埋めるために膨大な時間と労力を費やしても奏功するかがわからないわけです。それよりは、他の得意な部分を伸ばすことに力を注いだ方が、本人のトータルの人間的能力・魅力は高まるでしょうし、その見極めをキチンとつける方が大切ではないか、と感じています。

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