« (406) 将来の自立 | トップページ | (408) 高機能であること(2) »

2013年6月22日 (土)

(407) 高機能であること(1)

「自閉症の子どもの7~8割は知的障害を伴う」と言われています。でも、実際はどうなのでしょう?

これは、「自閉症と診断された子どもの7~8割は…」が正しい表現なのではないかと考えています。

そもそも、親は子どもの様子を見て「うちの子、何かが違う」と気付くことで「どうしよう?」と頭を悩ませ始めます。しかも、単に「何かが違う」と思うだけではなく、生活をする上で困難(それもかなりの)を感じるような状況になって、初めて小児科医のところへ行くことを真剣に検討するようになります。

この生活をする上での困難が知的障害に由来するものであったり、自閉症に由来するものであったり、ということを知るのは、医師に相談をして説明をされてから、ということが多くなると思います。

視点を変えると、生活をする上での困難をそれほど強く感じていない場合、医者に行くという行動までとる親は少なくなります。自閉度が高く知的障害が重ければ、生活をする上での困難を感じやすくなりますし、どちらか一方だったりあるいはそれぞれの障害度合いがそれほど高くなかったりすると、生活をする上での困難を感じにくくなりますから、「自閉症の子どもの7~8割は知的障害を伴う」という指摘は、社会で認知されている割合としては正しくても、実数として真実なのかはわからない、と考える方が素直だと思います。

とはいえ、この社会認知数の割合として、自閉症は知的障害を伴うことが多いことから、自閉症という言葉の中に既に知的障害があることまで含められていることも多くなっています。それと区別するために、知的障害がない自閉症を指すものとして高機能自閉症という言葉が作られていますが、私はこの高機能という言葉が、新たな誤解を生んでいると思います。

カレンダーを見なくても何年も前のある日が何曜日なのかを即答できたり、たくさんの数字をちょっと見ただけで暗記して言えたりという特異な能力を持っている、あるいは学習能力がずば抜けていると思われてしまうことがあるのですが、これはご存知のように明確に間違いです。実際に自閉症者でそのような能力がある人はいるものの、高機能という言葉がそのような能力を指しているわけではなく、単に「知的障害が無い」以上の意味はないのです。ネーミングセンスって大事だなあと改めて思います。

なお、昨今では大人の発達障害というフレーズもよく聞くようになりました。テレビでも時折取り上げられるのですが、親が診断を受けさせるほどではないと思い、未診断のまま成長していった結果、大学生や社会人になって周囲とうまくいかないことが多くなって、自ら原因を探し求めてさまよった挙句、精神科医を受診して初めて知る、という例も多くなってきているようです。このような方は、知的障害が無い、またはあっても軽い場合が多くなります。

以上を俯瞰して考えると、高機能というものの存在の認識や理解はまだ進んでいないと感じますし、それも含めてスペクトラムという表現の絶妙さが改めて浮かび上がることとなります。

« (406) 将来の自立 | トップページ | (408) 高機能であること(2) »

高機能広汎性発達障害児育児」カテゴリの記事

コメント

知的障害の有無の診断は必要だけれど『高機能』とつく事で
却って紛らわしくなることが多々ありますね。
高機能=高性能=問題ないでしょ、になる親御さんもいる訳で。
(機械じゃないんだからぁと話を伺っていて思いますよ)
親が理解力があるならまだマシで、親自体も何かを持っていると
上記の様な思い込みになるんですよね。
いや、いきなり言われたら世間の常識的にもそうなりかねないか…
ネーミングは受け止める為にも分かりやすい方が良いんです。
広汎性、という漢字を正しく読めない医者もいるってご存知ですか
そんな医者が診断を下すんですよ、日本は。
特性も診断も歳と共に変わるケースがありますし。
先ずは認知度を上げる事・診断を下されたら親はレクチャーを受ける事
を必須にすると少しは違ってくるかもしれませんね。

瀬津喩さま

コメント、ありがとうございます。

ご指摘の通りですね。よくわからないから誤解もされるし、親も先が見えなくなって不安になるし…。

高機能は、「high function」をそのまま訳しただけで(ということは、英語圏でもそう理解されているのか…?)、本文に記載したような例は、直接関係ないのですよね。

学習能力も、すごく優れた子がいるのは確かですが、そうではない大多数の高機能自閉症の人もいて、そういう方からは「ズバ抜けた能力を持っていると誤解されるとツラい」というお話を伺うこともあり、誤解を正す地道な取り組みが必要だと感じています。

映画「レインマン」も特異能力を持つ自閉症の兄が取り上げられており、これを標準にしてはならないと思います。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: (407) 高機能であること(1):

« (406) 将来の自立 | トップページ | (408) 高機能であること(2) »

2020年9月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

twitter

  • twitterやっています

派生ブログ:障害児育児から見た世の中のしくみ

  • 派生ブログ:障害児育児から見た世の中のしくみ
    こちらの派生ブログです。 こちらが息子を中心に息子の成長の様子や成長に関わり教育や社会について考えたことを書いているのに対し、同じ発達障害絡みではあるものの、広く社会一般を理解する一方法を軽く書いています。 せっかく学んだ発達障害の知識を生かすとすれば、という視点で書いています。
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ