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2013年3月 9日 (土)

(388) 障害児親もさまざま

障害のある子を育てていると、世間からは「障害児の親」とひとくくりに見られがちですが、実際のところは、それぞれの立場や境遇が違うのはもちろん、考え方にもかなり違いがあります。

この違いがどこから生まれるのかについて考えてみると、そもそも、自分の子どもが障害を持つという事実を受け止めきれているかどうかで大きく分かれると思います。この受け止めがきちんとできている人は、子どもの抱えている障害特性をよく知ろうと思い、対処法についてもきちんと学んでいきやすくなります。

逆に、これができていないと、当然障害に向き合うこともできません。従って何の根拠もなく障害を否定にかかったり、「ちょっと変なところがあるけどいずれ良くなる」とか「成長が遅れているだけでそのうち追いつく」等と思い込んだりすることとなります。ひどい場合には、折檻を加える等不適切な対処に走ることにもなりかねません。

ここで、子どもの側から見てみましょう。どちらの親と暮らす方が、日々のストレスが少なくなるでしょうか? 自明ですよね。

ちょっと極端な比較をしていますが、よく療育の本に書いてある「環境を整えることが大切だ」とされる「環境」の中に、親の姿勢も含まれることは見落とされがちです。放置や配慮のない叱責といった、本人の特性に合わない「環境」に小さい頃から置かれ続けた場合、そうでない場合と比較すると、その成長の仕方にも雲泥の差が出てきます。朝顔も、きちんと支柱で支えてもらわなければ地を這うだけになってしまいます。他の植物の日陰に入ってしまってうまく成長できません。

親が子の障害をしっかりと認識することは、やはり大切です。

なお、親が社会の成り立ちをキチンとわかっているかによって、「環境」の質も変わってきます。有り体に言えば、親自身が社会とうまくやっていけているかによって、子の生きやすさが変わってくることとなります。

もちろん、親だけが環境だというわけではないのでしょうけど、子は(特に小さければ小さいほど)親の影響を強く受けますし、親が社会とうまくやっていけていない場合に、それを上回る社会的能力を発揮できるようになる、とは普通考えにくいと思います。低い発射台からは弾も低く飛ばざるを得ません。

こういう点で、親の社会性も問われることとなりますし、親自身が改めて社会とはなんぞや? と向き合うきっかけになることもあるようです。

その次に、親が子のために社会という「環境」にどのように働きかけるか、についても考え方に差が出てくるところだと思います。

実は、障害受容ができている場合はもちろん、障害を受け止めきれずに「いずれ良くなる」「そのうち追いつく」と考えている場合であっても、ただ今・眼前の状況は子の成長が他の子と違う・うまくできていないという認識はあるようですし、それはやはり何とかしたいと感じるのは親心ですよね。

この時、社会に大満足しているってことはあまりないと思います。多数の人が満足しているならば、そもそも障害児の親が将来を悲観し、子とともに鉄路にしゃがみこむような悲劇は起こりえないからです。「先が見えない」「どうしよう」「どうなるんだろう」と考えながら日々を過ごすことも多くなります。

そうなると福祉や教育、医療に対し、改善や変革を望むようになりますし、社会の意識を変えたいという思いを持つようにもなります。積極的に親の会を結成して意見集約を行い、地域行政等に要望を出していく、という取り組みを行う方もおられます。一方で、中々そこまで踏み込むことにためらいを感じる方もおられますね。

ことほど左様に、障害児の親もさまざまな考え方を持っているわけです。それなのに、そういう見られ方をすることがあまりないのは、社会の側が「障害児の親」というレッテルを貼ってしまった時点で、それ以上の興味関心を持とうとしない、何となくよくわからないものを避けてしまうからなのではないかと思います。

レッテル貼りって、楽なんですよね。それ以上考えなくてもよくなりますし。人間の身過ぎ世過ぎのテクニックなんだろうなあと思います。私も、他の分野ではよくやってしまうのであまり強くは言えないなあと反省しています。

物事を虚心坦懐に見ることを意識したいと思います。

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