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2013年2月23日 (土)

(385) 広汎性発達障害のカミングアウト(3)

これまで、あることをはっきりさせずに障害のカミングアウトについて語ってきました。それは、カミングアウトする主体は誰なのかということです。具体的には、カミングアウトするのは親なのか、本人なのか、ということです。

実際のところは、親がカミングアウトについて判断していることが多いと思います。親が、子のために良かれと判断してカミングアウトを決断するわけですね。

ここで、私たちが忘れがちなことが一つあります。それは、障害のある子供本人は、自分が障害者だと周りから見られたいと思っているのでしょうか? ということです。

親の考えと子の思いをパターン化すると、
①親がカミングアウトすべきだと考えていて、子どももカミングアウトすべきと思っている
②親がカミングアウトすべきだと考えていて、子どもはカミングアウトすべきだとは思っていない
③親がカミングアウトすべきではないと考えていて、子供もカミングアウトすべきではないと思っている
④親がカミングアウトすべきではないと考えていて、子どもはカミングアウトすべきだと考えている
の4パターンがありえることになります。

ただ、本件についてはもうちょっと考察が必要になります。即ち、そもそも子どもが自らの意思を錯誤なく表示できるのかという問題を考慮する必要があります。実際は、更に
⑤親がカミングアウトすべきだと考えていて、子どもがどう思っているかがわからない
⑥親がカミングアウトすべきではないと考えていて、、子どもがどう思っているかがわからない、の2パターンがあって、実はこの⑤、⑥が一番多いのではないか、ゆえに判断に困っている親が多いのではないか、と思っています。

親と子は別人格であり、本人の意思が一番尊重されるべきだと考えれば、①~④は子どもの意思に基づいてカミングアウトすれば良い、ということになります。判断に悩むところは、あまりありません。

でも、⑤、⑥のように「子どもがどう思っているかがわからない」時は、どうすべきなのでしょうか。

「子どもがどう思っているかがわからない」というのは、ぶっちゃけ年齢と障害の程度によるものが大きいと考えられます。そして、障害が重い子の場合、「うちの子は障害が重く、見ればわかるからカミングアウトするまでもない」とお考えの親御さんもおられるかも知れません。

それも含めて考えると、結局のところカミングアウトって子どもの個人情報の一部を開示する行為であるからには、原則通り子どもの意思確認を行うべきであり、年齢にせよ障害の重さにせよそれらによってまだ本人が意思表示できない状況であるならば、やはり親が先走るべきではないのではないかと思います。「見ればわかる」場合であっても、積極的に個人情報を開示するのと、相手方の受け取りに委ねるのは違うと思います。

それでも、「カミングアウトしたい」と思われる方もおられるでしょう。障害に対する理解を得たい、という思いは悪いものではないでしょうが、それは子どもの個人情報と引き換えにしなければならないものなのか? カミングアウトは100%子どものためなのか? をもう一度問い直す必要があると思います。

特に子どもの他害や暴言、世間から見た奇矯な振る舞い等によって引き起こされる世間の非難・好奇の目への対処としてやむを得ないと考える場合には、その思いの裏に親の心理的重圧を免れたいとの思いが忍び込んでいないかを見つめ直す必要があると思います。

カミングアウトは、宇宙戦艦ヤマトの波動砲のような威力があります(世代的にこの意味がわからない方は、申し訳ありません)。反動として仲間はずれやイジメの問題が出てくる可能性については既述しましたが、それは確かにあるものの、その可能性は恐らくそれほど高くなく、かつ本来「悪」ですから、エイヤーの勝負に出るのは選択としてアリだとは思うのです。ただ、子どもの個人情報と引き換えで、一度出したら引っ込められないカードであることを十分に考える必要があると思っているのです。

なお、このような考えの延長には、カミングアウトをしないことも、実は篭城戦のような心理的重圧があることがわかると思います。篭城で勝つことはあまりなく、負けないための戦いとなります。

カミングアウトするにせよしないにせよ、親にとっては気苦労が絶えない状況が続くことになりますね(続きます)。

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教育制度・環境」カテゴリの記事

コメント

すごく良く分かります。そして分かりやすかったです。
私も娘が小学校に入学する際に、娘にとって何が一番良いのかを、どれ程悩んだ事か。私も、娘のカミングアウトで非常に悩みました。

本人がどう思っているか分からない上に、親もカミングアウトした場合、しなかった場合の今後を想像できないので、どうしていいのかホントに心が揺れ動きまくりでした。


結局は、小学校の支援学級に入級を決めたので、自動的にカミングアウトの道へ進みましたが。

通常学級の保護者の方々には、学級懇談会で、娘についてお話しする時間を少し頂きました。
全体的な発達がゆっくりなので、支援学級に在籍して自信をつけさせたい事。
コニュニケーション特性から、行き違いや誤解が生じやすい事。
ご迷惑をおかけするかもしれんませんが、宜しくお願いします。
というような内容をサラッと。

支援学級に入っているという事は、他のクラスや他学年の子も、もちろん知ってる訳で、それによって良かった事、悲しい出来事(高学年の保護者の意向で、集団登校の仲間に入れてもらえず、毎朝私と2人で登校してます)もありましたが、陰でコソコソ噂されたりするより、よっぽどマシです。
偏見のある方、理解のない方は自然と寄り付かなくなるので、無理して付き合う必要がなくなります!(笑)

思い切ってカミングアウトしてしまえば、親の肝もすわってしまい、心理的負担は減りますよね。
娘も今のところは支援学級が大好きなので、支援学級ならではの取り組みやイベントに参加できて羨ましいでしょ~と言わんばかりに、引け目どころか自慢してるようです。
とにかく、将来的に一般社会の中で生きていくためには、定形発達の子どもに比べて沢山の支援が必要なのですから、カミングアウトしたほうが、支援を多く受けやすいという事は言えるでしょうね。
仲間外れ、いじめの対象にもなりやすい事を周囲の大人が認識しておくことで、普段から多くの目を光らせ、問題が小さいうちに解消しやすく、悪質ないじめに発展しにくいのでは、と思っています。

何だか文の途中で送信してしまったみたいですが・・・とにかく!バックナンバーも追々読破させて頂いて、自分の子育ての参考にしていきたいと思います。

私はつい3日ほど前から、ココログで『今日も一日ありがとう、おやすみ。』という拙いブログを書き始めたミユママです。

娘が生まれてからの出来事を思い出しながら、ボツボツ綴っとります。
いずれ製本して娘にプレゼントできたらなぁと思っています。

ミユママさま

コメント頂きありがとうございます。

個人的な考えを書いているだけですので、何かのお役に立てれば幸いです。

ミユママさんのブログ、拝見させていただきました。ブログは「太く長く」が理想ですが、「太く短い」よりは「細く長く」を目指されると良いと思います。

この直前に頂いたコメント、確かに途中のようですので、宜しければお手数ですが再送願えないでしょうか。改めてアップさせていただきます。

ミユママさま

コメント、再送頂きありがとうございました。先に頂いた分も合わせて多少修正のうえアップさせて頂きましたが、不都合などありましたらご指摘下さい。

確かに、特別支援学校や学級に入るということは、何らかの障害があることについてカミングアウトしているのと同じ効果を与えますね。

「偏見のある方、理解のない方は自然と寄り付かなくなる」のは私も大歓迎happy01なんですけど、寄り付かないだけで留まってくれるかは、この先も注視が必要だなと思います。

この子達の個性を伸ばせる環境がより整っていくことを期待したいですね。

上手く文を合成して下さって、しかもエライ長文になってしまって、すみませんでした。

バックナンバーを少しづつ読ませて頂いてるのですが、すべて共感できることばかりで、感動です!
こんな理解あるお父さんを持ったお子さんは(奥様も)お幸せですね。

うちの夫はというと直観タイプで、私からの情報以外は多分何も知らないと思うのですが、いつも「大丈夫、大丈夫」と、ある意味デーンと構えた大物っぷりで、アレコレ心配してばかりの私の「ブレーキ」や「中和剤」のような役割を担ってくれてます。

おっっしゃる通り、寄り付かないだけでなく、排除しようとする方も確かにいますよね。

こちら側としては、そういう棲み分けの社会ではなく、何処かに書いてあったような、淡水と海水が混ざりあった河口付近のような・・・どちらも折り合って共生できるような環境が整えば有り難いですし、親としてはそんな世の中になるよう出来るだけの努力をしていきたいものです。
じゃなきゃ、年老いても死ぬに死にきれませんもんね。

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