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2013年2月 6日 (水)

(381) 正直であること

発達障害者は、基本的に表裏がありません。相手を陥れてやろうと平然と嘘をついたり、自分の真意と異なるおべんちゃらを言ったりすることは、まずないです。

ただ、言わないと固い意思を持っているわけではなく、個体によってはそうした方が得だと思うと、一生懸命言おうとしたりすることはあります。でも、極めて不得意で気持ちがこもっていないためにバレバレになって、かえって損をするという経験を積み重ねてしまうことも多く、その結果として言わなくなっている、ということもあったりします。

ある種の作業について、拒否をすることはあっても、それは不得意なことを自覚しているからであって、いざやるとなるとキチンと取り組みます。姿勢は真摯であって、手を抜こうとしたりすることもそうありません。

つまりは、正直な人ということになります。本来美点とされることのはずですが、この正直さゆえに生きにくくなっていることも多いです。

一般社会では、面と向かって人の欠点を指摘することは、された側が不愉快に感じるために、やるべきではないこととされています。指摘内容が真実であっても、悪口だと認識されてしまうということです。そして当たり前のことですが、自分が言っていることが真実であっても実は悪口にあたるということはあって、その場合は認識が無かったとしても、非難されることになります。

「よくぞ言ってくれた!」と感激して抱擁してくれるような度量の広い人は、世の中にそうそういないということですね。健常者は、この感覚がよくわかっていてうまく対処しています。

実は、発達障害の人は、思ったことを腹の中に留めておくのが苦手という特質があります。独り言が多いのもそのためだと思います。つい思ったことをそのまま口にしてしまうというこの特質と、口にしたことが人の欠点を指摘する内容である場合が組み合わさってしまうことも少なくなく、結果的に全く悪意がなくても非難されるということが健常者よりも起こりやすくなります。

発達障害者も、正直が時にアダになるということはわかると思います。一方で、どう振舞えば良いかについて習得しきるのは、かなり困難だと思われるのです。となると、取り敢えず黙っているという方向に進みがちになるのですが、本人にかなりのフラストレーションが溜まるであろうことが想像されます。「物言わぬは腹膨るるわざなり」と言いますし…。

残念ながら、良い解が見つかりません。ただ、発達障害者の生きづらさの原因が正直さにもあるのだとしたら、とても残念なことだと思います。

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発達障害」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。小学3年の発達障害の息子を持つ母です。
たいへん勉強になる記事ばかりで、興味深く読ませていただきました。
正直であること・・・本当にそのとおりですね。
ところで、1つおたずねしたいのですが、息子さんの障害のことを両家のご両親には告知されていないとのことですが、息子さんはそのことに関してどう感じていらっしゃるのでしょうか?
実は我が家も、同じ理由で両家への告知はしていません。毎回帰省はヒヤヒヤものです。最近、息子に「おじいちゃんおばあちゃんに何年何組と聞かれたら親学級のほうを答えておくよ。支援学級を使ってることは言わないほうがいいんだよね?」と言われてしまいました。
隠すように誘導してしまったのかな・・・と少し気になっています。

結衣さま

初めまして。息子さんはうちの息子と同級生ですね。よろしくお願いします。

ご質問についてですが、まず通級指導教室は1日だけ在籍校を抜けて別の学校に行っているという状況なので、自分の所属は在籍校であるという認識だと思います。

また、息子に対して障害の告知はまだ行っておりません。通級指導教室に通い始めるにあたっては、(226) 通級開始(http://deliberation.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/226-45ca.html )に書いた通り、「君には苦手なことがあるよね。だから苦手なところを別の学校でこっそり練習してできるようになって、みんなをビックリさせよう」と提案し、納得してもらって通い始めた経緯はあるのですが、障害があるからという言い方はしておりません。だから、恐らく私の祖父母に対して何か隠さなければならないことがある、という感覚は無いと思います。

ただ、このままずーっとそうか? と問われたら恐らくそうじゃないだろうと思います。ある程度成長した時に、自分がクラスメートと明らかに違うということに気付く時が来るだろうと思っていますし、その際にはきちんと説明をしなければならないだろうと思っています。

答えになっておりますでしょうか? ご期待に沿っていないようであったり、更にご質問がありましたらご遠慮なくお知らせ下さい。

お返事どうもありがとうございました。
先日は深夜でしたのでコメントかきとめておくだけのつもりが送信してしまいました。
非常識な時間に大変失礼しました。
息子さんのことよく分かりました。
そういう経緯で隠さなければという感覚自体がないのですね。
それにしても、充実した通級制度、うらやましいです。
私の息子も1年生の時は他校に通級しましたが全く受け入れが整っておらずリタイヤ。
2、3年は自分の学校に情緒クラスが新設されたため情緒クラス在籍となりました。
息子は祖父母の前では、情緒クラス在籍のことはふせ、3年○組だと話しているようで、気を遣わせてしまったと感じていました。
私も、同じく障害名を息子に伝えておらず「苦手なことを学びに…」という説明にとどめています。
お互い年齢があがってくると、自分への気づきがでてくるのでしょうね。
ていねいなお答えありがとうございました。これからも時々覗かせてください。    結衣

結衣さま

丁寧にご返信頂き恐縮です。

特別支援教育についてはまだまだだと思うことが多いです。正直なところ、最後は「運」によるところが大きくて、各家庭で努力してどうにかなるものではないと感じる一方、それで良いのだろうかと疑問に思うことが多々あります。

ただ、学校に対しては黙っていては何にもならないのでこちらの要望を伝えていくしかないとは分かっているのですが、なかなか伝わりませんね。

とはいえ、ここで喧嘩腰になってもしょうがないので、あくまでも冷静に(あるいは冷静を装って)、淡々と伝え続けていくしかないなあと悟りの境地です(笑)。

多くの人が同じ思いを感じてきたと思う時、それで諦めるかその思いを伝える努力をするかと考えると、私は伝える側に回りたいと思います。

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