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2013年2月 2日 (土)

(380) 健常に生む?

障害を持って生まれた子を持つ親が、一度は抱くであろう思い。それは、我が子に対して「健常に生んであげられなくて、申し訳ない」というものです。

出産は、親と子の共同作業です。子の側に障害を持って生まれたいという意思は多分ないと推定されますから、もう一方の当事者である親がそのように感じてしまうのは、やむを得ない面があると思います。

でも、何か努力をしていたら健常に生むことができたのでしょうか? これは、大いに疑問です。大抵の場合、具体的に「いつ」「何を」やっていたら(あるいは、やらずにいたら)健常に生むことができたのかがわからない以上、結果から当て推量をしているに過ぎません。

ビジネスにおいては、社会で起こりうるさまざまなできごとの中で、自分たちの努力でどうにもならないことは「Uncontrollable(アンコントローラブル)」な事象として区分する、ということが行われています。防げないことを防ごうとしてあれこれ考えても仕方がなく、起こることを前提に、事後になって発生する不利益や損害等を最小限にするための対応策を考え、必要な資機材等を手配しておくに止めるという対応をします。そうしないと、有限のマンパワーとお金を効率的に活用できないからです。

こういう視点を応用するならば、子どもを健常に生むこともUncontorollableな事象に属するのではないかと思うのです。

もちろん、出産まで酒もタバコもやめていない自覚が足りない親というのもいて、それらに起因して子に障害が発生する確率は上がります。しかし、それとても100%障害のある子が生まれるというわけではありません。その因果関係が明確になる場合を除いては、依然としてUncontorollableなことだと思います。

であれば、親が過去を振り返ってあれこれ原因探しをしても、意味もなければ効果も無いこととなります。親の責任も大抵はありえない以上、自分を責めるのはナンセンスだと思います。

このように割り切るのには、それなりの時間を要すると思いますし、それは致し方がないことでしょう。でも、しっかり気持ちを入れ替えたならば、過去に思いを残し続けるよりも今の環境にあるリソースを使い、更にその環境の改善を図っていくという対応に力を注ぐ方が、ビジネス的思考法にかないますし、親のやりがいと子供の成長にプラスになることは間違いありません。

障害を悪いものであるかのように捉え、その家族がビハインドの立場にいるかのように思わせる社会の風潮を変えていく必要があるのはもちろんですが、「今の環境にあるリソースを使い、更にその環境の改善を図っていく」ことは、極めて創造的な営みであることを認識するようにしていくことも大事なことではないでしょうか。

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