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2012年5月20日 (日)

(331) 療育機関の課題

発達障害の療育機関は、学年が上になるにつれて選択肢が減る、という現実があります。

一般の塾だったら逆ですよね。クラス指導・個別指導・進学・補習・通信教育等であれこれと選択肢が広がっていくことになるのですけど…。

昨今は発達障害に対する認知度も上がりつつあり、早期発見・早期療育が大切だというコンセンサスもできて、幼児を対象とした療育機関はそれなりに増えてきているように思います。

しかし、例えば自分の経験でお話すると、児童発達センターといったような公的機関は就学前までで終わりですし、民間の療育機関も小学校中・高学年、中学、高校と上がるに従って選べる数が減る(印象としては激減する)ように感じます。

なぜそうなるのか? よくよく考えれば、幼児期は笑って済まされることが、少年や思春期になれば許されなくなることが増えてきて、本来は一般の塾等と同様に選択肢が増えなければおかしいのではないか? と思うのですが、実際はそうなってはいないのが現実で、なぜそうならないのかについて理由を考えてみました。

私見ですが、

  1. 幼児期は発達課題が明確で、それを達成するための指導もある程度確立できている。ゆえにそれをターゲットとした療育機関は成り立ち得る。
  2. 就学し、特に重度知的障害を抱えている子については、特別支援学校や特別支援学級での指導がメインとなり、その他に療育機関で更に何かをさせようという動機が低くなる(幼児よりはニーズが減る。なお、習い事はまた別)。
  3. 自閉症「スペクトラム」の部分についての理解はまだまだよくわからない部分が多く、健常児への指導との差別化もまだまだ研究途上で特色を打ち出しにくい。
  4. 一般論で語れる部分が段々減って、最終的には個々の子どもの特性によって課題と解決方法が異なってくることにより、指導を一般化しにくい。
  5. 教える側も個体属性を知るところから始めなければならず手探りとなり、負担が大きい。また、こうすれば良いという明確な指導を自信を持ってやりにくい。
  6. 子どももいつまでも子どもではなく、指導者との相性の比重も大きくなる。

といったことにより、民間で経営していくのにリスクが高くなるのが要因ではないか? と思っています。

本来は、小さい頃から指導してくれた人に中学や高校生の指導もできる能力があり、そのままずっと一貫して指導を継続してもらうということができれば良いのですが、まだこのようなケースはレアであって、恐らくニーズは潜在的にたくさんあるのに応えきれるだけの基盤ができ上がっていないという状況に置かれているのだろうと考えています。

このあたりのギャップを埋められれば、更に発達障害の子の社会適応力が高まることは論を待たないと思いますし、これからの学生の有望な就職先にもなり得るのではないか、と淡い期待を持っています。

少なくとも、発達障害児のケアを親だけで何とかできるという考えを捨て、社会で支え伸ばす仕組みを作っていくことが大切で、親の手に余る課題を根拠薄弱な親学で改善できるはずはない、ということは強く申し上げておきます。

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