« (329) 普通学級での課題 | トップページ | (331) 療育機関の課題 »

2012年5月16日 (水)

(330) 療育はゆったりと構えて

療育に取り組む時の心構えとして、「即効性を期待してはいけない」は絶対だと思います。

子どもに障害があると分かり、とにかく何かを始めなければと焦る気持ちは身に覚えがあって痛いほどわかるのですが、その焦りの背後には、「今からでも何かをやれば健常児にしてあげられるかも知れない。だから一刻も早く即効性のあるものを…」という親の一方的な願望があることに気付く必要があります。

この思いに取りつかれると、冷静に客観的に見れば胡散臭く科学的な根拠が薄い「ここだけの話」的な療法に引きずられるリスクが高くなります。そんなに効果がある大発見ならば、堂々と医学誌に論文を発表し、多くの専門家の批判的な目にも耐えられるはずです。それをやっていないものは、まずまがい物だと思って良いでしょう。

これまでにそれなりに効果があるとされる療育方法は、残念ながらそんな即効性はありません。薄皮を剥ぐようにという表現がありますが、少しずつ少しずつ前よりもマシになってくる、一つずつできることが増えてくる、できることが増えるに従って、更に高度なこともできるようになってくる、というようなものとなります。

「ちょっとやったら途端にすごく高度なことができた」というようなお話は、眉唾だと思って良いでしょう。

変な例えかも知れませんが、療育は生クリームのホイップのようなものだと考えられると思っています。

ご存知のように、生クリームの素は最初は液体で、ちょっと泡立て器でかき混ぜたくらいでは全く何の変化も無いように感じられると思います。それでも諦めずにずっとかき混ぜ続けていくと、ある瞬間からパッと固まって生クリームとなります。

最初にきちんと腰を据えてやることが大事なのに、焦って途中で別のやり方にうつって、また効果が出ない…を繰り返すことも残念ながら少なからずあるようです。

確かに、障害の度合いは千差万別なので、誰かが本に書いたやり方と全く同じようにやっても、効果が出ないことはあります。ただ、その時に、全く違うやり方に飛びつくのではなく、子どもの状態を見ながら、少しずつカスタマイズを加えていく、というのが正しい取り組み方です。

むしろ、途中でやめてしまうことにより、せっかくその療育に馴染んできた子どものやる気を削いでしまうことになったり、新しいやり方を始めることでまた不安を感じさせることになったりすることの方が、すごくもったいない結果を招くだろうというのは、ちょっと考えれば分かることではないでしょうか。

療育は、子ども達が健やかに人生を送れるようにすることが目的であって、健常児にすることが目的ではありません。焦りの元を断ち切るのは中々勇気が要りますが、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」です。落ち着いた対応が最善の効果を生むと信じて頑張りましょう。

« (329) 普通学級での課題 | トップページ | (331) 療育機関の課題 »

療育」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: (330) 療育はゆったりと構えて:

« (329) 普通学級での課題 | トップページ | (331) 療育機関の課題 »

2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

twitter

  • twitterやっています

派生ブログ:障害児育児から見た世の中のしくみ

  • 派生ブログ:障害児育児から見た世の中のしくみ
    こちらの派生ブログです。 こちらが息子を中心に息子の成長の様子や成長に関わり教育や社会について考えたことを書いているのに対し、同じ発達障害絡みではあるものの、広く社会一般を理解する一方法を軽く書いています。 せっかく学んだ発達障害の知識を生かすとすれば、という視点で書いています。
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ