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2011年1月 4日 (火)

(202) 障害児を育てること

Twitterで「そうだよな」と感じた書き込みがありました。ひと言で言えば、「障害のあるわが子を天使だと持ち上げないで」というコメントでした。

実は、ちょっと前に参加した自閉症の子を持つ親を対象とした講演会で、自閉症児を育てた先輩父母のお話コーナーがあり、そこでその先輩さんが心の支えにしてきたという詩「天国の特別なこども」(この詩をネットで検索すると結構ひっかかります)を紹介されたのですが、その時に感じた違和感に通じるものがあるように感じました。

確かに、ブログ等でも障害のあるお子さんに関して「天使」という言葉は散見されますし、そのブログオーナーがお子さんを愛し育てておられることは存じております。

けれど、端的に言ってしまいますが、出産前から障害を持って生まれて欲しいと願っていた親はいないでしょう。言い換えるなら、親は子どもに対してあらゆる能力に秀でていて欲しいという山のような期待を持ってしまうものだということです(これを昔の人は「親ばか」と表現しています)。障害というのは、一部(もしくは全部)の能力がかなり低くしか発揮できない状態のことですから、わが子に障害があるということは、親の当初の期待が叶えられず、ここでショックを受けることとなります。

そのショックから立ち直るのに、「この子が私のところに生まれてきたのは、何らかの特別の意味があるはずだ」と思うのはその時の方便としてはアリだと考えますが、周りがそう言って決めてかかるべきものではないでしょうし、親本人もいつまでもその思いを持ち続けるべきではないと思います。なぜならば、結果としてありのままの子どもを見つめることにならず、正しい親子関係の構築や適切な療育の選択の支障になりかねないからです。

人類を俯瞰すれば、一定の確率で障害を持った子が生まれてきています。それがたまたまウチに来ただけで、それに意味があるということは無いわけです。「天国の特別な子ども」の詩の作者に対し「全知全能の神であるならそもそも障害を持った子を作った理由は何?」と問い詰めても答えはないでしょうし。

とはいえ、親の思い通りにならないのは健常の子だって同じです。スポーツ万能でイケ面で頭も良くて性格も穏やかでそれでいて芯が強くて、って子はこの世にいないとは言いませんが、ものすごく少ないでしょう。大多数は出来不出来のある子であり、その子の不出来な部分だけを取り上げて「この子が私のところに生まれてきたのは、何らかの特別の意味があるはずだ」と考えることはまずないことです。それでも、大抵の親は子に愛情を持って育てています。

もちろん、特別な意味が無くても一緒に生活しているうちに愛着は生まれますし、愛情も湧いてきます。「特別だ!」と肩肘張ることなく自然体で子と向き合えるようになった時に、障害児を育てることの真の楽しみが見えてくる、今はそう考えています。

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教育制度・環境」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。59歳男性です。
僕も、「鎖肛」という高位型、先天性奇形で生まれてきました。緊急手術で人工肛門を造設しました。幼児期、少年期の間(17年間)その生活でした。突然変異の奇形です。
僕が生まれて、母が障害を持って生んだ事に対して、受容(五段階のプロセス)出来るまで悲しんだと思います。僕自身も物心がついて、その現実を受止められるまで悩みました。生まれてきた以上、もう一回お腹に戻る事はできない。
僕が障害を持っていることには行動にもある程度制限がある、でも両親、家族は他の兄弟と同じように特別扱いもせず、また僕も同じように暮らしてきました。
内心は辛い、悲しい、とはいつも心には持っていましたが、両親、家族にそれを表面に出すと、せっかく支えてくれていることに申し訳ないとの気持ちもありました。なぜ、少年時代に、そのような事を考えられたのが僕には不思議です。

ター坊さま

コメント頂きありがとうございます。
すいません、鎖肛という言葉を知りませんでした(どういう状態か、は聞いたことがあったのですが、それを鎖肛ということは、コメントを頂いて調べて初めてつながりました)。

ター坊さんは、お優しい心をお持ちですね。障害を持っていることは、ター坊さんのせいでも、ご両親のせいでもないのに、辛いお気持ちを胸に収めて過ごされていたことは敬服致しますし尊いと思います。

障害の受容という時に、親の立場でしか考えておらず、ター坊さんのコメントで、ご本人も同じように受容に直面することに思い至りました。

気付きを与えて頂き、ありがとうございます。

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